不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

アロエを持っていった初老のお嬢さん。

 わが家の庭の道沿いにはアロエが生えてい
る。
 土質が適しているのか、気候が合っている
のか、このアロエがどんどん大きくなってき
ている。
 もちろん、他の庭に生えている植物と同様
このアロエにも私は何の手入れもしていない。
 水もやらないし、肥料もやらない。
 面倒くさいからである。
 そんな薄情な私のことは最初から当てには
していないのだろうが、アロエはマイペース
で成長を続けている。
 元来アロエは強い植物なのであろうが、そ
れにしても逞しい植物である。
 何本もの枝分かれした茎の太さは7~8cmほ
どある。

 先日、お隣のNさんが呼ぶ声がする。
 玄関に行ってみると、もう一人50代後半と
思しき女性がいる。
 年に不釣合いなウェーブのかかった髪を肩
まで伸ばしている。自分の現実を把握してい
ない女性がよくこういう髪形をしているもの
だ。
 髪形だけを見ると20代前半なのだが、顔は
年齢を偽れていないのだ。
 うひゃ~気持ち悪い。でも人を見かけで判
断してはいけない、と思い直した。

「あのアロエ、少しもらっていい?」とNさん
が尋ねてきた。
「あぁ、いいですよ。好きなだけ持って行っ
てください」と私は答えた。あまりに大きく
なっていたので、もてあまし気味だったので
ある。
 アロエが欲しかったのは、お隣のNさんでは
なく、その連れに女性のようである。
 その女性は、それからアロエのところに行
ったようだ。
 私は、取るところを見ていなかった。
 それからしばらくして、アロエを取り終わ
った頃、その女性はお隣のNさんに「有難うご
ざいます」と声をかけ、乗ってきたクルマに
アロエを載せて帰っていった。

 え~、私には一言も無いのか。いい年して
礼儀も知らない人だな、と呆れてしまった。
 その後、夕方になって私はアロエの生えて
いる場所に行った。
 アロエは無残な切り取られ方をされていた。
 こんなにあるんだから、取り放題だ、と思
ったのだろうか。
 地面には、持ち帰るのには形が気に入らな
かったらしい、ちぎられたアロエが散乱して
いた。
 なんだこれはー!
 こちらが気持ちよく了解したので図に乗っ
たのだろうか。無礼にもほどがある。
 還暦も近かろう年の女性がすることとはと
ても思えなかった。

 人間は年を取っていても、常識が無い人間
はいくらでもいるようである。
 それとも、あの髪形を見た時にもっと注意
していれば良かったのだろうか。