不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ドイツの電力会社による廃熱の利用と遅れている日本の電力会社。

 新聞に名古屋大学教授の竹内恒夫氏によるエ
コロジーに対する興味深いコラムが載っていた。
 竹内氏は10年ほど前に、ドイツのデュッセ
ルドルフに住んでいた。冬の気温は名古屋より
2度ほど低いだけで、それほど寒いところでは
ない。
 アパートでは、玄関、トイレなどを含め全館
暖房で集中給湯。煮炊きは、クッキングヒータ
ー。暖房が行き届いているので屋内では半袖で
も大丈夫。留守をするときも暖房は止めてはい
けないことになっている、等など。
 これを読むと、エネルギーを大いに使って、
二酸化炭素の排出に加担しているかのように見
えるが、実際はそうではなく逆なのだそうだ。
 暖房・給湯のための熱は、市内にある火力発
電所の廃熱が各戸へ送られてくるものだからで
ある。デュッセルドルフ市内には、全長180
㌔もの熱導管が引かれているのである。
 一般的に、火力発電所では、石炭、天然ガス
石油を燃料に発電機を稼動するのだが、そのう
ち約40%が電気になり、残り約60%が廃熱
になる。
 デュッセルドルフ発電所では、この廃熱を
市内の住宅に供給しているのである。
 一方、日本の火力発電所では、それらの廃熱
を全部、海や大気に捨てている。
 伊勢湾や三河湾にある火力発電所から廃棄さ
れる発電廃熱の量は、愛知・岐阜・三重のすべ
ての家庭や業務施設で消費する灯油、都市ガス、
液化石油ガスからの熱量の約2倍にもなる。
 その40%しか作れない貴重な電力を、オー
ル電化という売り文句に乗せて給湯や暖房に使
わせようとしているのだ。
 これでは、石油やガスを直接熱源とする場合
と比べて二酸化炭素の排出量が2倍になってし
まっているのである。
 なるほど、そういうことになっているのか。
 知らなかった。

 電力会社が大量の熱を無策に捨てているとい
うのに、一般市民は熱を得るために,売りつけ
られている灯油、ガス、電気を使うことを余儀
なくされているのである。
 電力会社は、60%ものロスを出しておきな
がら、エコロジーに熱心に取り組んでいるとア
ピールしている。
 何とも胡散臭い。
 いくら電力会社が儲かるからといって、原子
発電所の建設に力を入れるよりも、先にすべ
きことがある、ということである。
 
 私は日本の民間会社でもっとも怪しいのが、
電力会社だと思っている。
 情報公開もされず、一方的に賞品を売りつけ
られている私達市民には、もっと知らなければ
ならないことが多いのではなかろうか。

 人は、それが必需品である場合、そのものが
一体どれだけの害を他に及ぼしているかについ
ては考えない傾向がある。
 クルマの排ガスについては、皆知るところに
なってはいるが、発電にまつわる環境汚染につ
いては知らないことの方が多いと思われる。
 それは、電力会社が知らん振りを決め込んで
いるからである。
 
 私達は、もっと知るべきなのである。