不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ガス器具展示会に行ってきた。

 雨がやんだので、ガス器具の展示会に行った。
 当地の都市ガスの会社では、年に数回、展示
会を行っている。
 前回は、大きな会場を借りての大規模なものだ
ったが、今回は営業所で行われる。
 さて、今回のガス会社の人たちはどんな感じだ
ろうか。
 ここ数年、ガス会社の人たちの表情は暗かった。
 マスメディアでは、オール電化が今後の主流で
あるかのように紹介されてきた。
 そして、実際にオール電化にしたお宅も少しずつ
増加してきていた。
 オール電化にするとなると、今まで使っていたガ
ス関連の設備は必要なくなる。
 また、スペース等の関係で邪魔でもある。
 そのため、ガス会社にそれらの設備撤去の依頼
が入る。
 一旦、ガス設備やガス器具を取り外したからとい
って、未来永劫ガス器具は使いません、或いは、使
えません、ということではない。
 だが、一度ガス設備の撤去してしまえば、再びガ
スに戻ってくることは、まず無いであろうことは予想
できる。
 ガス設備撤去の依頼は、一軒分の顧客の半永久
的喪失なのである。
 そうした流れが、ここ数年続いていた。
 今月は何件の撤去依頼が来た、今月は何件だった、
という話は社内にすぐに広まる。
 現場の社員が撤去に向かうのだから、隠しようがない。
 そうなると、ガス会社の士気は落ちる一方である。
 このままガス使用の世帯が減り続けたら、どうなるの
だろうか、と気になって仕方ない。
 だが、自分たちではどうすることも出来ない。
 これは彼らにとって大きなストレスだったに違いない。
 ガス器具の展示会も行われていたが、信じられないほ
ど暗かった。
 各担当者は俯いているわけにもいかず、うなだれた表
情のまま、何とか気力で真っ直ぐを見ているようだった。
 この流れが変わったのが、3月の震災である。
 あの日からオール電化に対する疑念が、増加していった。
 それに伴い、ガス設備撤去依頼も減少した。
 ガス展示会で見るガス会社の人たちの表情も少しずつ
明るくなっていった。
 私は彼らの表情を気をつけて観察していたのだ。
 ガス会社の人も、まさかそんなつもりで表情を伺ってい
る人間がいるとは思ってもいないだろう。
 しかし、私はそういう人間なのである。
 この日、営業所で行われた展示会にいたガス会社の
人たちは、皆明るかった。
 前回よりも一層明るかったと思う。
 私はくじを引き、末等を受け取って会場を出た。