不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

地震体験車なまず号に乗ってみた。

 市役所の前を通りかかると、スピーカーから何やら
楽しそうな話し声が流れている。
 見るとバスのようなトラックのような白い車両が前
庭にとまっている。
 テレビかラジオの中継車が公開収録にでも来ている
のかな、と思い近づいてみる。
 その白い車は、地震体験車だった。宝くじ・なまず
号と車体横に書いてある。これはまた、ベタなネーミ
ングだ。
 体験車の周りには、体格の良い制服姿の男性が3人
ほどいる。消防署の人らしい。消防関係の人は、皆さ
んがっちりとした体をしておられる。体格の平均値は
警察官よりも良いのではなかろうか。
 そんな男たちが、遠くから眺めていた私を見つける
と、満面の笑みで私を手招きをする。
 地震体験車に乗ってみないか、というお誘いである。
 私は、15年ほど前に一度体験者に乗ったことがあ
る。その時も、大いに揺らしていただいた。そんなに
揺らさなくても、と思うほど体験車は揺れることは、
体験済みである。
 私は、よせばいいのにお誘いに応じ、乗ることにし
た。 
 私の前に、50代くらいのご夫婦らしきお二人が、
乗った。大いに揺られている。終わって降りてくる時
には、顔が青ざめている。
 これはやっぱり止した方がいいかな、とも思ったが、
屈強な消防署員に囲まれていては、断りづらい。
 ここは、我慢して乗るしかないようだ。
 今日は震度7の設定だそうだ。
 靴を脱いで、小さなスチールの階段を上る。靴を脱
ぐと何だか無防備な感じになる。
 日本人は靴を脱いでしまうと、途端に力が抜けてし
まう。靴を脱ぐと脱力しリラックスするというこの反
応は、日本の特殊な住環境によるもので、長年日本人
をやっている身の上としては仕方が無い。
 体験車の舞台には短脚の白木のテーブルが床にボル
トで留めてある。
「揺れが始まったら、そのテーブルの下に隠れてくだ
さい」と消防署の人に教えられる。
 それではスタート。
 徐々に揺れだして、すぐに本格的な揺れになる。
 テーブルにしがみついていないと、体験車から振り
落とされそうな感じだ。
 いい大人なので、もうやめてとも言えず、じっと我
慢してテーブルの脚を掴む。それにしても、このテー
ブルはボルトで床に固定されているから動かないけれ
ど、普通の家ではテーブルを固定するなんてことをし
ているのだろうか?
 しばらくすると、揺れはおさまった。
 震度7は怖すぎる。
 体験車というより恐怖車である。冷や汗も出ない。
 ゆっくりと、階段を下りて靴を履いた。
 まだ、どきどきする。
 地震体験車は、地震対策の啓発活動として各地を回
っているようだが、教育効果は十分あると思う。
 地震と台風は日本に住むものとしては宿命であり、
何とかしなくては、とはいつも思ってはいるが、その
何とかが私は分からないでいる。

 でもやはり、怖かった。
 なまず号というネーミングに惹かれて乗ってしまっ
たが、もうあと10年は乗らなくてもよさそうだ。