不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

「ライブ・エンタテインメント新世紀」を読んだ

 北谷賢司著「ライブ・エンタテインメント新世紀」ぴ
あ総研刊を読んだ。
 この人はマイケル・ジャクソンローリングストーン
ズやマドンナといったロック・ポップス界の大物を招聘
し興行をコーディネートしてきた人である。
 こういう内幕話は、とても面白いのだが、音楽ファン
としては長年の夢が壊れてしまうことも度々ある。
 この本は、そういったファンが勝手に抱いた幻想を見
事に崩壊させる。
 ミュージシャンも結局は、お金で動いているのである。
 そんなの当然だ、と言われるだろうが、私たち音楽フ
ァンは自分で言うのも恥ずかしいが、大体が純粋な気持
ちでミュージシャンを捉えている。
 ミュージシャンの行動原理は、まず音楽的衝動であり、
創造する意欲であると思い込んでいる。それは、多くの
ケースで間違ってはいないのだろうが、それでも大物ミ
ュージシャンがお金で、それも大金でほいほい動く様を
知らされると、やはりがっかりする。
 以前にも何冊かこういう興行関係の人の書いた本を読
んだが、その本もまずお金の話から、なのであった。
ミュージック・ビジネスといえば何か格好の良いものの
ように聞こえるが、実際は古臭い興行の世界での出来事
である。勿論、その内容やシステムは徐々に変化をして
きてはいるが、その変化の原動力となっているのも、や
はりお金なのだ。
 どうすれば、効率よく儲けられるか、が彼らの規範な
のである。
 ミュージシャンは、その儲け話を如何に音楽的必然性
があるものか、という視点でのみメディアでのインタビ
ューで答える。ミュージシャンも嘘はついてはいないの
だが、真実も語ってはいないということが、この本を読
めば分かってしまう。
 ファンはそれらのインタビューを読んで、言葉は悪い
が真に受けてチケットを予約・購入するのである。
 良いファンとは、何も疑わす綺麗に騙される純粋な人
たちのことである。
 
 何だか最近の欧米のロックやがつまらないなぁ、と思
っていたら、こういう商売と直結した地点にロックが位
置するようになったからではないか、と思う。

 人間、大金が絡む日常を送ると、つまらない生き物に
堕落していくのだ。