不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

とうもろこしを茹でた。

 夕方、パソコンをいじっていたら、家の前に赤いワゴン
車が止まった。郵便局である。
 こんな時間に何だろう?と思っていると、局員が縦長の
箱を持ってやってくる。
 それは、叔父から送られてきたとうもろこしだった。
 この時期になると、叔父が家で栽培しているとうもろこ
しを送ってくれるのだ。勿論、事前にこちらからも季節の
挨拶の品を送っているので、その返礼ということになる。
 
 とうもろこしとなると、こうしていられない。
 とうもろこしは、収穫されてからの時間の経過によって
鮮度の落ちが早い。魚だったら足が速い、というところで
ある。
 あらかじめ連絡しておいてくれれば、とも思ったが、そ
んなことを頭の中で考えていても時間は過ぎてしまう。
 すぐに取り掛かることにする。
 早速、皮を剥き始める。少しでも早くゆでなければ、味
が落ちてしまうのだ。
 とうもろこしの毛は、内田裕也の髪の毛みたいだ。
 剥けるとすぐに、普段は使わない大きい鍋で茹で始めた。
 私が、これほど迅速に物事を進めるのは、生のとうもろ
こしをもらった時くらいのものである。
 大きめの鍋なのに、3本しか入らない。残念だが仕方な
い。何回かに分けて茹でることにしよう。
 茹で時間は、何分だっただろうか?こんな時、インター
ネットは便利である。すぐに調べると、沸騰してから3分
がベストらしい。次点が5分か。じゃあ3分にするか。
 とうもろこしの茹で時間は、パスタなどと同様に、きっ
ちり時間を計った方が良い。適当でもよさそうにも思える
が、私の経験上では、やはり時間は守った方がよいようだ。
 調理における3分は実に短い。お湯で茹でるだけなので、
これを調理と言っても良いのかどうか迷うところだが、短
時間でとうもろこしは仕上がってくれるのだ。
 茹ったとうもろこしを、箸でなんとか挟んでつまみ出し、
ざるに上げた。
 これで、出来上がりだ。シンプルすぎる。
 送られてきた11本を順番に茹でた。
 全部茹でても15分もかからなかった。
 
 皮を片付けてから、今年初めてのとうもろこしを食べた。
 うまい。
 私はとうもろこしが大好きである。
 冷凍物も缶詰も好きだ。コーンフレークも当然好きであ
る。
 それでも、やはり茹でたとうもろこしが一番である。
 調理に手がかからず、特に調味料も必要としない。
 食べ物は、シンプルなものが良い。
 最近の美食は、食材を食べているのか調味料を食べてい
るのか分からないようなものが多すぎる。

 その後、叔父に電話をして礼を言った。
 叔父も叔母も元気そうだった。
 送ってくれるのなら、その日の朝にでも電話を入れてく
ださい、と言いたかったが、言いそびれてしまった。
 でも、おふたりとも元気そうなので良かった。
 お元気で、と言おうと思ったが、それも言いそびれてし
まった。
 大事なことは、なかなか言い出せないものである。