お祭り集会所で、そこに集う人たちの観察をする。
大半が飲酒中である。
酔っ払いの観察を素面の人間がしていて、面白いのか?と思われそうだが、これが意外なほど面白い。
酔っているので本心ではないのか?
あるいは、酔っているからこそ、それが本心なのか?
この人は本当のところ一体どういう人なのだろう?
いくつもの推測が私の脳に浮かんでくる。
黙って飲むことは不文律により禁じられており、皆さんが何かを喋っている。
その話も面白い。
内容は、くだらない、実の無いものばかりだが、それを真剣に喋っている様子が面白い。
あぁ、アルコールって罪作りだなぁ。
そうしているうちに、時刻は午後6時55分となった。
私の役目である交通整理の時間である7時まであと5分である。
(そろそろ準備しようか)と思っていたところにNさんが来られた。
Nさんは我が家の隣人であり、今回のお祭りの任務の相棒でもある。
「では行きますか」
私は誘導棒を手に立ち上がった。
外は寒そうだなぁ。
この日は一日中当地迷物の大風が吹いていた。
瞬間最大風速は20メートルを超えている。
気温は、日没後であるこの時間で7℃ほどである。
4月上旬なのに冬の気温である。
寒いが、町内で決められた任務なのでやらなければならない。
別の言い方をすれば、これさえキッチリ行えば他は、テキトーでも許される。
私は、冬の寒さの中に出て行った。
~続く~