その男性はどう見てもアルコール依存症である。
そのような人に酒を飲ませても良いものだろうか?
アルコールを飲むも飲まないも自己責任である。
従って当人の判断を尊重し黙認されることなのだ
ろうか。
ここは町内会のお祭りに付随する集いの場である。
規模は小さいもののお祭りの場である。
アルコール類は場の必須の品である。
アルコール類は、ほぼ飲み放題となっている。
こうした集い自体がアルコール類を中心として動い
ているのだ。
飲酒を制限するという発想が皆無である。
あぁ、危ないなぁ。
男性もおおっぴらに飲めるということで喜んで参加
しているのだろう。
その人がアルコールによってまさにこの場で壊れつ
つある。
だが、それを止める人が誰もいない。
それどころか、飲むように勧めてさえいる。
そう思うのだったら、お前が止めろよ、といわれるか
もしれない。
その通りである。
しかし、私にはそれが出来なかった。
ご近所の先輩方に任せておこうと思ったのだ。
場の空気をしらけさせるのも避けたかった。
加えて私自身にもアルコールが入っていた。
酔っている人間が、もう一人の酔った人に注意をす
る資格があるだろうか。
説得力ゼロである。
お前だって飲んでいるじゃないか、と抵抗されるか
もしれない。
結局、私は見て見ぬふりをするしかなかった。
~続く~