Nさんと私は交通整理の現場に向かう。
お祭り集会所から10メートルほどしか離れていない十字路である。
「この先はお祭りエリアで歩行者天国です。クルマの通り抜けはできません。迂回をお願いします」と案内をするが、私達の任務である。
この時、気温は7℃、瞬間最大風速20メートルである。
「大風は体感温度を5℃引き下げる」ので、体感は2℃である。
寒い。
真冬の寒さである。
とても4月とは思えない。
まぁ、4月は春だったり冬だったりと、日替わりで陽気が変わる月である。
この日は冬の日ということになる。
クルマは、数分に一台程度しか来ない。
その間、Nさんと私はお喋りをする。
隣同士であっても、Nさんと、こうしてお話をする機会は普段は無い。
顔を合わせれば、話はするが長くて2~3分である。
「距離的に近すぎてわざわざコミュニケーションをとる必要がない」と思っているからであろう。
Nさんの最近の様子や、ご子息の動向やらいろいろである。
「へえ~、そうだんですか!?」という話ばかりであった。
あぁ、やっぱり話してみないと、わからないものだなぁ。
全然知らなかった。
こうしたコミュニケーションの機会があるのも、お祭りの良いとこである。
時折、クルマが来るので案内をして迂回をお願いする。
地元の方か、その関係者の方ばかりであろうか、皆さん快く応じてくれる。
法被に帽子の男が道の真ん中に立っていれば、「あぁ、ここは今お祭りなんだ」とわかってくれるようだ。
気温が低く、大風が吹いて寒いのだが、場所の雰囲気は温かい。
あれ?
嫌々だったお祭りが、ちょっと楽しくなってきているなぁ。
~続く~