私は終末の時について、その時が来ればわかると考えていた。
だが、世間の人達はそれに気が付かないままで過ごす。
(終末の時であれば、余程鈍い人でも気がつくだろう)と思いがちだが、そうはならない。
「まさに今終末の時だ」であっても「何を言っているんだ?」「バカじゃないのか?」と嘲るだけだろう、と思っていた。
世の人は、終末について真剣に考えることもないし、(まさか自分が生きている間にそのようなことが起こるわけない)と根拠も無く信じている。
世の人々とは、いつの時代もそういうものだ。
預言者が登場し、警告を発しても聞こうともしない。
理解できないのだ。
「何を言っているんだ。まぁこっちに来て酒でも飲みなさい」
世の人は、そのまま眠りのままにいる。
預言者は嘲られ、世の端に追いやられる。
そのような世の人の間にありながら、私は終末の時が来ればわかると信じていた。
何故か、その確信があった。
では、私は事前に終末の時が来ることを把握していたのか?と言えばそうではない。
私もまた(自分が生きている間に週末が来ることは無いだろう)と考えていた。
それは、私が予め設定していた終末の時の予兆を感じなかったからだ。
大きな環境破壊や世界大戦勃発の予兆は見られなかった。
環境破壊の場合、2~3年で自然が破壊されることはなく、早くても10年はかかるであろう。
その時点では、その予兆は見つからなかった。
世界大戦勃発であれば、その兆候が幾つも挙げられるであろうが、それも無かった。
(これなら、当分終末の時は来ないな)と思っていた。
呑気なものである。
新型コロナ禍が始まって、やっと「これが終末の時の徴だ」と気がついたのである。
~続く~