不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

Aさん亡くなる。その⑨

 町内の役はやらないAさんだが、町内関連、地域関連
のあらゆることを拒絶したわけではなかった。
 回覧板のファイルや町内連合会主催の地区運動会の
プログラムといったものに広告が載せられる。
 市の花火祭りのプログラムにも広告欄は大きく割かれ
ている。
 そうした広告にはA医院は広告を出す。
 回覧板ファイルの場合、表表紙の裏表、裏表紙の裏表
と何十枠も用意されており、そこには地域の企業や商店、
医院が広告を出す。
 広告費でファイルやプログラムなどを作り配布するとい
うシステムである。
 その広告にA医院も参加している。
 これはインパクトがある。
 「あのA医院が広告を出すとは」
 広告取りは、地元の広告代理店が行っている。
 おそらく「町内のB医院様はじめ各所から広告を頂いて
おります」とセールスしたのであろう。
 町内には同業ライバルのB医院があり、町内連合会ま
に及んでは医院は他にもいくつもある。
 そうしたライバルが広告を出しているのに、うちだけ出
さないわけにはいかないといったところであろう。
 体裁、世間体を気にしたのではなかろうか?
 そんなところで取り繕っても、「町内の業務を拒否する
医院」と言う評判は広く知れ渡っている。
 広告を何本出そうが、取り返せるものではない。
 Aさんとその家族は、地域の情報ネットワークや口コミ
と言ったものの力を軽く見過ぎている。
 あるいは、そうした無形のネットワークの存在を知らな
いのであろうか?
 Aさんは、自ら評価を落とす行為を行ってきたのが、そ
れはまだ他にもある。

 ~続く~