不二家憩希のブログ

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Aさん亡くなる。その⑧

 Aさんの町内における評判は大きく下がって行った。
 町内の役を公然と拒否すると言う行為は、地域社会
としては到底受け入れられることではない。
 わざわざそんな医者にはかからない、と言う空気とな
った。
 悪い評判は伝播力が強い。
 薮な上に地域社会にも非協力的とあれば、受診する
気にもなれない。
 A医院の不評は町内だけにとどまらず、町内連合会に
も及んでいった。
 A医院にかかる人は、こうした評判を知らないような地
域の人ばかりとなった。
 患者数は目に見えて減少していった。
 これは駐車場に停まるクルマの数で判別できる。
 Aさんはこうした事態を予見しなかったのであろうか。
 頭が悪いのだろうか?
 また周囲の人は助言しなかったのだろうか?
 Aさんの親や奥さんは何も言わなかったのだろうか?
 どうやら、皆がAさんの言うなりになっていたようである。
 頭の悪さが伝染したのか、遺伝したのか、状況に対し
て疑問を抱かなかったようである。
 「あなたは医者だから特別なのよ」という扱いだったよ
うだ。
 他者から特別扱いされて当然という思い込みがあった
のであろう。
 今時珍しいとしか言いようがない。

 ~続く~