不二家憩希のブログ

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Aさん亡くなる。その⑦

 人間の感情反応というものは、ほぼパターン化してい
る。
 こういうことが起きたら、こうなる、と決まっている。
 例外的な動きにはならない。
 これは、人間がそれまでに生きてきた中で集積された
記憶をもとにした反応パターンに沿っているからと思わ
れる。
 では、経験がない事象、記憶にない事象に会った場合
はどうなるのか?
 唖然とする、呆然とするかといった状態になる。
 これは、ニュートラルな判断不能な事態に直面してい
るということである。
 感情は停止しており、時間の経過とともに知性が働き
始める。
 ここに至り状況の分析が開始される。
 そして、「これは間違っている」「おかしい」となる。
 知性と先行しつつも停止していた感情が融合される。
 ほどなくして怒りが生まれる。
 「うちは医者だから、町内の役はやらない」と言うAさん
の態度に対する班の皆さんの反応は、上記のような経
過をたどった。
 異例過ぎてすぐには対処できないほどだったのだ。
 前例がないことをされると、こうなるのか、という見本
のような状況だった。
 しかし、最終的には多くの住民の方が個々に程度の
差はあれど、怒りを覚えるようになった。
 当然のことである。
 
 ~続く~