Aさんは、いろいろと風評のある人だった
そのいずれもが良い話ではない。
医者として薮である、ジャングルであるという点は一つ目
である。
2点目は、Aさんが当地へ引っ越してきてから、つまり医
院を開業してから数年たった頃に明らかになった。
TMさんが次年度のA医院に行った。
TMさんは、Aさんに班長の業務の説明をするつもりだっ
た。
だが、Aさんは話を聞かずにこう言った。
「うちは、町内の仕事は一切やりません」
役目を拒否するというのだ。
これは、完全に予想外の宣言である。
町内では、一軒ごとに年度替わりの持ち回りで順に班長
を担当することになっている。
今までこれをやらなかった家は一軒もない。
やって当然なことなのだ。
Aさんにやらない理由を尋ねた。
「うちは医院である。医院として社会に貢献しているので、
町内の役はやらない」
なんという言い訳だ。
これを聞いて皆が唖然とした。
説明し説得しても頑として聞かない。
「うちは医者である」という声明を繰り返すだけだった。
「医者だからやる必要ない」ということらしい。
そんな理由付けで断るのか?
本気なのか?
「こんな人見たことない」
前例のない人の出現に皆は戸惑うばかりだった。
~続く~