キーボード奏者キース・エマーソン氏がお亡くなりに
なった。（以下敬称略）
71歳だった。
エマーソンは、プログレッシブ・ロックの世界を切り開
いたパイオニアの1人であり、キーボード演奏の改革者
であった。
真の天才ミュージシャンだった。
「誰がその楽器の最高の演奏家か？」という問いは、
どの音楽ジャンルでも常にかわされている。
ロック界では、「誰が史上ナンバーワンギタリストか？」
とよく議論になる。
その際5人から10人ほどの名前が挙がる。
ジミ・ヘンドリクス、エリック・クラプトン、エディ・ヴァン
ヘイレン等などである。
意見は飛び交うが結論は出ず、最終的には各々の好
みが最高の1人を決することとなる。
だが、ロック・キーボードの世界では、こうしたやり取り
はない。
「ロック史上最高のキーボード奏者はキース・エマーソン」
これは、ロック界の常識である。
一人抜きん出た存在であり、エマーソン以降の演奏家
に決定的な影響を与えている。
「そうは言っても、ロックの世界だけでしょう?」と言われ
るかもしれない。
否である。
ジャズを弾けば、オスカー・ピーターソンばりのノリの良
い演奏を聞かせる。
ジャズ・ピアニストでも、エマーソンほど弾けるプレイヤ
ーは数えるほどしかいないという評がある。
クラシックにおいても超絶技巧を披露する。
どんなジャンルを演奏しても、トップのセンスと技巧の
持ち主だった。
私は、この突然の死に言葉も無い。
