不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

フィル・ウッズ氏、ご逝去。その③

 フィル・ウッズは、ジャズのトップ・ミュージシャンであるが、
その演奏はジャズファン以外にも広く知られている。
 ウッズは、多くはないがポップス、ロックのミュージシャ
の盤の録音にも参加している。
 その中で圧倒的に有名なのはビリー・ジョエルの「素顔の
ままで」(Just the Way You Are)である。
 ビリー・ジョエル初期の名曲である
 特に、ここ日本においては数あるビリー・ジョエルのヒット
曲の中でも、群を抜いて人気がある。
 日本人が好みそうな美しいメロディーの名曲で、アレンジ
も素晴らしい。
 ウッズは、この曲の間奏と後奏部分で至極の名演を披露
している。
 ウッズのサックスの音は、この曲のムードを決定づけ、強
い印象を残す。
 ウッズのことをご存じない方でも、この部分を聞けば「あぁ
知ってる!」と言うこと間違いない。
 ビリー・ジョエルは、元はニューヨークの酒場でピアノを弾い
ていた。
 ジャズの素養も持っているだろう。
 だが、ジョエルの作品には、ジャズ風のものはほとんどない。
 私が知らないだけかもしれないが、ビリー・ジョエルの音楽か
らはジャズの響きは感じられない。
 ジャズを熟知しているがゆえに、ジャズを避けているのでは
あるまいか。
 こうしたケースは、他にもある。
 ロックバンドTOTOの中心人物でキーボード奏者のデビッド・
ペイチの父親は、ジャズの名アレンジャーでピアニストのマー
ティー・ペイチである。
 デビッド・ペイチは、ロックにジャズの語法、奏法を取り入れ
た改革者の一人であるが、演奏する音楽自体は常にロックで
ある。
 プライべートでは、かなりジャズ寄りの演奏し、録音も残して
いるそうだ。
 しかし、表向きの音楽活動ではジャズには一切タッチしてい
ない。
 デビッド・ペイチの演奏能力はロック界隋一で、「ジャズにも
あれだけ弾けるピアニストは、そうはいないだろう」と評さてい
 それなら少しくらい弾いてもよさそうだけれど、と思われるか
もしれない。
 デビッド・ペイチは、それをしない。
 これは、意識しての行動自粛だと思われる。
 演奏技量が十分にあっても、簡単には近づけない音楽、そ
れがジャズなのであろう。

 
 ~続く~