昨日の記事のソニー・ロリンズ氏の受賞を祝うコンサ
ートでは、大物ミュージシャンが参加し演奏を披露した。
(以下敬称略)
ジャズ・ミュージシャンが中心だが、その中にはロック・
ミュージシャンも混じっていた。
ドナルド・フェイゲンである。
フェイゲンは、ロックバンド・スティーリー・ダンの共同
創設者の1人であり中心メンバーである。
ロック・ミュージシャンでありながらジャズ好きを公言し、
チャーリー・パーカーを題材とした歌詞の曲を2曲発表し
ている。
もう一人のお気に入りは、デューク・エリントンでEast
St. Louis Toodle-Ooを完全カバーし、ロックであるステ
ィーリー・ダンのアルバムに収録している。
この日、フェイゲンはロリンズについてインタビューに
答えてこう語っている。
「彼は、私の高校時代のアイドルだった」
「ジャズは私の10代の人生を救ってくれた。そして、ソ
ニーはたぶん私の生涯にわたるお気に入りです」
フェイゲンのソロアルバム「ナイトフライ」のジャケットに
は、ロリンズのアルバム「コンテンポラリー・リーダーズ」
が写っている。
フェイゲンはインタビューをこう続けている。
「アメリカ・ジャズ財団は素晴らしい。ミュージシャンも年
をとり病気にもなる。ミュージシャンはそうした際に特別な
互助とかそういうことを普通は受けられない。だから素晴
らしい」
へぇ~、フェイゲンもこういう人道的な発言をするのか。
この人はそうしたことには、一切タッチしない人かと思っ
ていた。
この日のライブでは、フェイゲンはジャズの大物と一緒
に演奏した。
曲はジョン・コルトレーンのアルバム「テナー・マッドネス」
から「ポールズ・パル」である。
トランペットがランディ・ブレッカー、テナーサックスがジミ
ー・ヒース、ベースがバスター・ウィリアムス、ドラムスがア
ル・フォスターである。
フェイゲンは、ピアノを弾いた。
フェイゲンは、音楽を志した頃、ジャズ・ピアニスト志望だ
った。
だが、自分の技量ではやっていけないと判断し、ロック
に進路を改めたのだった。
映像では、ジミー・ヒースがしきりとフェイゲンの方を見
ている。
共演がうれしくてたまらないといった様子である。
フェイゲンのピアノは、これくらいのテンポなら十分通用
するものとなっている。
愛想をふりまくことなく、無表情で弾いている。
少しは楽しそうにすれば良いのに、と思わなくもない。
だが、この人は20代の頃からずっとこうなのだ。
内心は大感激でも表にあらわさない。
そういう人なのだ。