不二家憩希のブログ

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フィル・ウッズ氏、ご逝去。その④

 フィル・ウッズの多くの訃報記事で語られている通り、
ウッズはスティーリー・ダンの作品にも参加している。
 曲は「ドクター・ウー」で、哀調を帯びた美旋律にマッチ
したウッズの名ソロを聞くことができる。
 スティーリー・ダンの中心人物であるウォルター・ベッカ
ーとドナルド・フェイゲンの二人は、子供の頃から熱心な
ジャズファンだった。
 フェイゲンは、元々はジャズ・ピアニスト二なることを夢
見ていた。
 だが、ある時点で「自分には、ジャズでやっていけるだ
けの技量がない」ということを悟り、プロのジャズ・ピアニ
ストへの道を断念している。
 その後、ロックやポップスへ傾倒し、ポップスやロックの
ミュージシャンへ曲の提供を始め、ソングライターとして音
楽業界へ入っていった。
 そして、ベッカーとフェイゲンは自身のロックバンドを結成
しデビューを果たした。
 
 ジャズを諦めたものの、ジャズが嫌いになったわけでは
ない。
 スティーリー・ダンもジャズの要素を取り入れた。
 ゲストミュージシャンにジャズ・ミュージシャンを積極的に
起用した。
 フィル・ウッズは、当時すでにジャズの巨人の一人として
知られる存在だった。
 ベッカーとフェイゲンは、元々ジャズファンである。
 自分たちの作品に、あのフィル・ウッズが参加してくれる、
これには感慨もひとしおだったろう。
 ウッズは、録音が始まると最初のワンテイクで最上の演
奏を繰り広げた。
 ベッカーとフェイゲンは感嘆の声を上げた。
 最初から全力を出す、熱い男フィル・ウッズの本領発揮
である。
 さて、ウッズは事前に自分のサックスソロの構想を練っ
た上でスタジオ入りしたのか?
 それとも、文字通りその場でアドリブソロを展開していっ
たのか?
 謎である。
 いずれにせよ、素晴らしい演奏であったことはアルバムを
聞けばわかる。
 ウッズの名演がロックの名盤に刻まれることとなった。

 ~続く~