不二家憩希のブログ

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フィル・ウッズ氏、ご逝去。その⑤

 フィル・ウッズは、熱い男である。
 ライブでも音盤録音でも、常に沸騰するようなプレ
イを聞かせる。
 かつて、チャーリー・パーカーへのトリビュート・コン
サートが開かれた。
 80年代の終わり頃のことだったと思う。
 ディジー・ガレスピーを中心にトリビュート・バンドが
結成された。
 トランペットはパーカーとはコンビを組んでいた御大
ガレスピー、ピアノがハンク・ジョーンズ、ベースがレイ・
ブラウン、ドラムがマックス・ローチである。
 これにサックスが加わる。
 テナー・サックスがスタンゲ・ゲッツ、アルト・サックス
 信じられないような豪華メンバーである。
 
 
 特にスタン・ゲッツの参加は珍しい。
 ゲッツは、こうした企画には殆ど出ない人なのだ。
 常に「俺様」なゲッツが、モダン・ジャズの開祖ガレス
ピーらの前では神妙にしているのが笑える。
 ウッズは、マクリーンと並んでステージに立った。
 
 若い頃からの仲良しでも、同じコンサートに一緒に出
演することは、ごく少なかったであろう。
 ソロがアルト・サックスのパートにくると、さながらアルト・
バトルのような様相を呈する。
 マクリーンが見事なソロをとれば、ウッズも負けじと吹
きまくる。
 スタイルは異なるが、二人とも冷涼さとはほど遠いサウ
ンドの持ち主である。
 熱と熱のぶつかり合いである。
 スパークが目に見えるような熱演だった。
 ウッズとマクリーンは、ともに長尺のソロを吹ききった後、
顔を見合わせて手を差し出す。
 そしてガッチリと握手をする。
 この様子に、観客は一層の声援を送る。
 
 
 
 
 
 ウッズは、いつだって熱い。
 それが、フィル・ウッズである。

 ~続く~