不二家憩希のブログ

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フィル・ウッズ氏、ご逝去。その②

 フィル・ウッズが米国のジャズ・クラブに出演して
いた時のことである。
 こんな声が聞こえてきたそうである。
 「白い奴がバードのまねをしやがって」
 その声は敵意に満ちていた。
 バードとは、チャーリー・パーカーのニックネーム、
別名である。
 ウッズは、その声がする方向を見た。
 そこには、チャールス・ミンガスがいた。
 ミンガスは、ウッズを睨みつけていたそうだ。
 
 チャールス・ミンガスは、普通の人ではない。
 いわゆる「危ない人間」である。
 かつて所属していたデューク・エリントン楽団を暴
力沙汰で解雇された男である。
 暴力をふるうことに躊躇のない人間だった。
 ウッズは、ミンガスに対し特に反論はしなかったよ
うだ。
 触らぬ神に祟りなし、といったところであろう。
 ウッズは熱い男ではあるが、粗暴な男ではない。
 紳士なのだ。
 才能があり大活躍をしていれば、楽しいこともあれ
ば、そうでないこともある
 
 
 
 このエピソードは、ウッズがビッグネームとなって以
降に明かされたものである。
 その時には、ミンガスは既に没していた。
 ウッズは「昔、こんなことあってなぁ」と懐かしそうに
語ったそうだ。

 ~続く~