不二家憩希のブログ

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フィル・ウッズ氏、ご逝去。その①

  ジャズ・アルトサックス奏者フィル・ウッズ氏が、9
月28日米国ペンシルバニア州ストラウズバーグでお
亡くなりになった。(以下敬称略)
 ウッズは、この9月4日にピッツバーグにおいてチャ
ーリー・パーカーの名盤「ウイズ・ストリングス」を再
現する趣向のコンサートを行ったばかりだった。
 オーケストラはピッツバーグ交響楽団だった。
 トップ・ミュージシャンにふさわしい一流のオーケス
トラが伴奏を務めたのである。
 このコンサートでウッズは肺気腫のためミュージシ
ャンを引退することを発表した。
 ウッズは亡くなる24日前まで最前線のミュージシャ
ンとして活躍していたのである。
 文字通りの生涯現役であった。
 ウッズが引退に際しプログラムに選んだのが、チャ
ーリー・パーカーの「ウイズ・ストリングス」だった。
 自身も多くの作曲をしアレンジもこなしてきたウッズ
が、あえてパーカーの名盤の再演を試みるということ
は、ウッズのパーカーへの思いが伺える。
 ウッズはパーカーに直接弟子入りしていたわけでは
ないが、私淑していたことは間違いない。
 デビュー間もないうちは「ニュー・バード」と呼ばれも
した。
 バード(鳥)とはパーカーのあだ名である。
 ニュー・バードつまりパーカーのフォロワーとして最
先端であると見なされていたのである。
 ウッズに遅れること数年、もう一人の「ニュー・バード」
と呼ばれる男が出現した。
 フロリダからやって来たキャノンボール・アダレイであ
る。
 猛烈なスピードで吹きまくるアダレイの演奏を聴き、
多くの人が「ニュー・バードだ!」と声を上げた。
 ウッズもその評判を耳にし、友人のジャッキー・マクリ
ーンと一緒にアダレイのライブをこっそり聴きに行った。
 アダレイの演奏は圧倒的だった。
 ウッズとマクリーンは顔を見合わせて仰天した。
 そして挨拶もせずにコソコソとライブ会場を抜け出した
そうだ。
 これは、後年ウッズ自身が語ったエピソードである。
 マクリーンを巻き込んでの自虐ネタと言えよう。
 ウッズは、ユーモアとセンスある会話が出来る粋人だ
った。
 
 ~続く~
 
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