朝、目が覚めてすぐにラジオをつけた。
試合は始まっていた。
「15分経過して・・・」とアナウンサーが言っている。
私はサッカー・ワールドカップ・ブラジル大会の決
勝戦を聞こうと、昨夜は早めに寝たのだ。
だが、そうした工夫も虚しく、15分寝過ごしてしま
ったようだ。
「0対0です」
まだ点は入っていないのか。
私は、寝ながらラジオを聞いている。
この時期、外はすでに明るくなっている。
だが、さすがに4時台だと、起き上がるのもまだ早
いな。
私は、そのまま耳で戦況を追う。
点が入らないなぁ。
そのまま、フルタイムとなった。
時刻は6時前だった。
私は起床した。
その後も、朝の身支度などを済ませながらラジオを
聞き続けた。
延長戦前半でも点は入らない。
延長後半になった。
今回も0対0でPK決着となるのか?
決勝でもPKで決まるのか?
そのあたりは私はよく知らないのだが、そんな試合
展開だった。
窓際に立って家の前の通りを眺める。
誰も通らない。
いつものこの時間帯なら、犬の散歩や健康ウォーキ
ングで、誰かしら歩いている。
しかし、今日は一人もいない。
ウ~ム、ひょっとして皆さんも決勝戦を観戦している
のだろうか?
きっとそうに違いない。
延長後半8分、アナウンサーが叫んだ。
「ゴール、ゲッツ!」
ゲッツ?
ゲッツといえばダンディ坂野か?
スタン・ゲッツがサックスを吹きながらゴールを決めてい
る場面を思い浮かべることとなった。
後で確認すると、ゲッツではなくゲッチェだと知った。
何だそうなのか。
ちょっと面白かったのに残念である。
こうして、私にとってのワールドカップは終わったので
あった。