不二家憩希のブログ

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トイレの水滴音 その③

 トイレのタンク内から聞こえてくる水滴音は、止む
ことはなかった。
 これが2週間ほど続いた。
 続いたと書くと何か自然現象やヒトの健康状態の
ような感じではあるが、要は放ったからし、見て見ぬ
ふりである。
 否、この場合は聞こえても聞こえぬふり、というべき
であろうか。
 水滴音をきいているだけで何もしていないのである。
 でも、少なくともタンクの中を見て確認くらいはしただ
ろう?と思われるかもしれない。
 実は、何も見ていない。
 タンクのふたを外して見てみるだけのことである。 
 それすらしていない。
 何故しないのか?
 それは、私はトイレを見てもよくわからないからである。
 タンク内がどういう構造になっているのか、まるでわ
からない。
 レバーを動かすと水が流れ、水が一定量流れると自
動的に止まるという仕組みも私には謎である。
 タンク内に浮きのようなものがあって、それが浮かん
でくると水が止まるということは聞いたことはある。
 だが、その浮きが実際にどう機能しているのか、何故
水が止まるのかとかに関してはチンプンカンプンである。
 よって、わからない無知な男がタンク内を覗いてみても、
どうにもならんだろう、と思っていた。
 なんとも頼りないお話ではあるが、事実なので仕方が
ない。
 それでも毎日続く水滴音は、次第に無視できなくなっ
ていった。
 
 ~続く~