トイレに入るたびに気になる水滴音に私の忍耐もそ
ろそろ限界に近づいていた。
私の忍耐力は、実に小さいのだ。
私はトイレ・タンクの中を覗いてみることにした。
音がし始めてからやっとである。
タンクの上のふたを持ち上げる。
陶器なので重い。
隙間にホコリが溜まっている。
普段のトイレ掃除は便器中心主義である。
そのため、この辺りは殆ど掃除しないからだ。
わかっているなら、やれば良さそうなものなのだが、
それができない。
タンクの中には想像以上の水が溜まっていた。
私は少したじろいだ。
これも水滴が一滴ずつ落ちた結果なのか？
一滴ずつとはいえ侮れない。
5秒に一滴なので、考えたら相当な量ではある。
これだけの量の水が呑気に用を足している私の背
後に控えていたということか。
ダムを背にしているようなものではないか。
覗いている間にも水滴は落ちている。
どこから落ちているのか？
私は音の発生源を見てみた。
～続く～
