私は家に戻り大屋根を見上げた。
本当だ。
アンテナが無い。
ある筈の物が無いのは妙な感じである。
アンテナが立っていた部分の設置用金具の部分の瓦
だけが錆色になっている。
どこへ行ったのだろう?
私は家の裏手に回った。
あった。
アンテナは大屋根の端にかろうじてぶら下がってた。
アンテナを固定していた金属線はいずれも切れている
らしく見当たらない。
3本のフィーダー線が落下を辛うじてとどまらせていた。
あぁ、こんなになっていたのか。
全然知らなかった。
私は台風が去ったその日のうちに家の周りを見ている。
その時には確かにアンテナは立っていた。
だが、その約1週間後に大風が吹いた日があった。
台風で切れかかっていた金属線が、その日の大風で
切れてしまったのではなかろうか。
そう言えば、夜中に「ガッチャ~ン、ガラガラ」という音
がした日があった。
あの時に落ちたのだろうか?
私は(どこか余所のお宅で何かあったのかな?)と思
っていた。
まさか自分の家だとは思ってもみなかった。
いずれにせよ、これは急がねばなるまい。
トイレ・タンクの水滴落下とはわけが違う。
次に強風が吹いたら大変なことになるかもしれない。
~続く~