だった。
それぞれの商品が2日間に限り特別価格にな
っているのだ。
この日は、その初日だった。
この特別価格提供が、初日の早朝からなのか、
それとも日付が切り替わったらすぐに変わるのだ
ろうか。
そのあたりのことはお店の人に尋ねてみなけれ
ばわからない。
私は早速購入した。
価格は特別価格だった。
商品を手に入れると、すぐにUターンである。
この時間には、開いている店も無く寄るところも
無い。
何しろ朝の6時前なのだ。
私は来た道をそのまま引き返す。
少しずつだが、散歩中の人とすれ違う。
クルマは未だ時折走ってくる程度だ。
二つ目の信号が赤信号だった。
私は止まって待つ。
道の向こう側には、60台後半くらいの女性が待
っている。
その女性は、信号が変わる前に横断歩道を歩き
始めた。
あれ~、信号無視だ。
私はその女性の顔を見つめてやった。
そうすれば、向こうもばつが悪いと思い、少しは
反省するかもと思ったからだ。
女性は私の視線に気がついたようだ。
すると、女性はこう言った。
「おはようございます!」
朗らかな朝の挨拶である。
うひゃ~!
コソコソと通り過ぎるかと思いきや、逆に開き直
って挨拶をしてきたのだ。
自らの図々しさを飲み込んで消化し、相手に投
げ返す。
これは、なかなかの高等戦術である。
地上最強の生物の一つ、日本のオバタリアンな
らではある。
こんなこと男性ではとても出来ない。
おそらく、オバタリアンの面の皮は鋼鉄で出来
ているに違いない。
私は、呆れてしまった。
こんな生物に何を言っても駄目だな。
私は、その生物の行方を確かめることなく、自転
車を発進させた。
朝の爽やかな時間帯には、いろいろな生物が通
りを歩いているようだ。
そんなことも確認できた週末の朝だった。