不二家憩希のブログ

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TMのおばさんご逝去。その⑥

 翌日は告別式である。

 式場に行く。

 幸いにも晴天である。

 式場に着く。

 場内ではキーボードによる生演奏が行われている。

 それらしい曲が続く。

 使用楽器の関係であろうがサウンド的にちょっと安っぽい。

 この式場が用意する楽器はこんなものなだろう。

 式の開始時刻となった。

 司会者が、僧侶の入場を告げる。

 合掌で迎える。

 読経が始まる。

 この僧侶は、多くの曹洞宗の読経とは違うな。

 同じ曹洞宗でも、寺によって読む経典や順序が異なっているようだ。

 祭式に決定版など無く、各寺で都合に合わせて読経しているのだろう。

 焼香になり、席を立つ。

 並んで焼香し席に戻る。

 読経が終わった。

 続いて御詠歌が始まった。

 へぇ~、曹洞宗で御詠歌とは珍しいな。

 このあたりの地域では、殆ど無いことである。

 ノドに自身があるのか、寺の伝統なのか?

 でも、特別上手でもないな。

 そして、喪主挨拶となった。

 旦那さんがマイクの前に立つ。

 「妻は私の我儘を常に受け入れてくれました。私だけではなく接するどの人

に対しても優しい心遣いがありました。皆に好かれる良い女性でした」

 旦那さんの声は明瞭でよく通る。

 元学校の先生だけあって、話し方が上手だ。

 情感がこもった熱い言葉が続く。

 特別なことは言っていないのだが、説得力がある。

 後ろの席では嗚咽が漏れているようだ。

 喪主挨拶でこれほど、参列者の心を揺さぶることは稀であろう。

 挨拶が終わると、棺に花を納める。

 親族が花を入れていく。

 遺体となった故人の周りに花で埋める。

 花もつい数時間前まで生きていたのに、このために用意され、棺に入れられる。

 一種の道連れである。

 棺の蓋が閉じ、式場外に運ばれていく。

 霊柩車に載せられる。

 参列者はその様子を見守る。

 家族が霊柩車の横に並んでいる。

 そして、ここでも司会者が喪主に挨拶を促す。

 うわぁ~、これは残酷だな。

 喪主は、喪主挨拶で気力を振り絞っていて、既に脱力状態であろう。

 それなのに、なおも挨拶を要求してくる式場関係者は、鬼である。

 ビジネスとして行っているので、そんな繊細な心の動きまでは気が回らないの

だろう。

 実に鈍い奴らである。

 ちなみに私の時には、この場での喪主挨拶は無かった。

 今の流行りなのか、それで新たに取り入れたのか?

 いずれにせよ呆れる。

 旦那さんも放心状態で促されて仕方なく、もう一度挨拶をした。

 親族たちがバスに乗り込む。

 霊柩車がゆっくりと走り出しだ。

 これで行事は終わりだ。

 おじさん、2度も挨拶をさせられ、お疲れさまでした。

 そして、おばさん、さようなら。