不二家憩希のブログ

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エンジニア・ロジャー・ニコルス氏、ご逝去。その⑳

 エンジニア・ロジャー・ニコルスはある音楽誌
から「録音においてアナログとデジタルのどち
らが優れていると考えていますか?」という
われたことがある。
 ニコルスは、アナログ録音において頂点を極
めたエンジニアであり、デジタル録音の機器や
ソフト、手法などの発明者、改革者でこちらでも
また最高の評価を受けている。
 これは、ニコルスのグラミー賞の受賞歴を見れ
ば明らかである。
 ニコルスはアナログ録音最後の時期である70
年代後半においてもグラミー賞の常連であり、デ
ジタル録音が常識となった2000年にも受賞し
ている。
 ニコルスはこう答えた。
「デジタル」
 ニコルスは愚問だと言わんばかりだったようだ。
「一般のリスナーの中には『アナログの方が音が
良い』と主張する人もいるが、それはノスタルジ
ーが混じった気分のせいだよ」
 なるほど。
 私もそうだろうなぁ、と思う。
 アナログ録音の中にも、優れた録音は沢山存
在する。
 だが、アナログ録音とデジタル録音とでは収めら
れる情報量に格段の差がある。
 加えて、録音時だけでなくミックスなどの段階で
もデジタルの方が出来ることがいろいろとあるのだ
ろう。
 あまりにシンプルな問いかけではあったが、私
にはこの問答がとても印象に残っている。
 
 ~続く~