不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

エンジニア・ロジャー・ニコルス氏、ご逝去。その⑫

 スティーリー・ダンは今でこそロック史上屈指の
バンドとしての地位を得ているが、そこに至るま
での道のりは平坦なものではなかった。
 しかし苦難もあったが、幸運もあった。
 スティーリー・ダンが天才エンジニアであるロジ
ャー・ニコルスと出会ったことは、その中でも最大
の子運のひとつといえよう。
 今日、スティーリー・ダンは「音の魔術師」という
異名をとっている。
 これは、彼らの絶妙なアレンジとそれを記録して
いる盤の極めて鮮明な音響による。
 彼らを「魔術師」たらしめているのには、ニコルス
の手腕によるところが大きいのである。
 彼らは偶然に出会った。
 やっとのことで彼らが契約出来たレコード会社に、
たまたま駆け出しのエンジニアのニコルスがいた
のだ。
 スティーリー・ダンがニコルスを選んだわけでなく、
ニコルスがスティーリー・ダンを選んだわけでもない。
 仮に、スティーリー・ダンが他のレコード会社に拾
われていたら、ニコルスとは作品を残さなかったかも
しれない。
 こうした巡り合わせを、運命的な出会いと言うのだ
ろう。
 そして、この出会いは私たちリスナーにとっても大き
な恩恵をもたらしていることは言うまでもない。
 スティーリー・ダンのアルバムは、優秀録音ばかりの
名盤揃いだからである。
 このビデオは名盤「彩」の中の一曲「ディーコ
ン・ブルース」の録音について、スティーリー・ダ
ンのウォルター・ベッカーとドナルド・フェイゲン
回想を交えて解説している。
 あの名旋律をアレンジによってさらに磨きをか
けようとした過程を知ることが出来る。
 このビデオでは7分50秒頃に、ロジャー・ニ
コルスが出てくる。
 知性とバイタリティーに溢れた人物であるこ
とが見て取れる。
 
 ~続く~