不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

エンジニア・ロジャー・ニコルス氏、ご逝去。その⑬

 スティーリー・ダンの中心メンバーであるウ
ォルター・ベッカーとドナルド・フェイゲンは、
気難しそうな人達のようである。
 アメリカ人でロック・ミュージシャンという先
入観からは大きく外れている。
 ロックミュージシャンと言うより、研究がうま
くいっていない大学の研究者のように見える。
 そんな二人だったが、ロジャー・ニコルス
は馬が合ったようだ。
 ニコルスは快活でエネルギッシュ、アウトド
ア好きな人である。
 ベッカー&フェイゲンとは正反対である。
 正反対の人間の方がうまくいく、ということ
はよくあることではある。
 何より、ニコルスの傑出したエンジニアとし
ての才能が、ベッカー&フェイゲンの信頼を不
動のものとしたのであろう。
 そんなニコルスは、何とスティーリー・ダン
アルバム・ジャケットにその姿が載っている。
 彼らのセカンド・アルバム「Countdown to
Ecstasy」である。
 このアルバムは、デビューアルバムが予想外
のヒットをしたため、急遽制作が決定したもので
ある。
 どうやら、レコード会社は、当初からスティー
ー・ダンを一発屋程度にしか見ておらず、売れる
内に売っておこう、という魂胆だったようだ。
 ちなみに、このアルバムではジャズ・ベース
巨人レイ・ブラウンが一曲だけ客演している。
 何と、あのレイ・ブラウンである。
 ちょっと信じられないが本当のことである。
 その他、スコット・ラファロを見いだしたことでも
知られるヴィクター・フェルドマンがビブラフォン
パーカッションで、参加している。
 後年、スティーリーダンはジャズ、フュージョン
系のミュージシャンを多用することになるのだが、
すでにセカンドアルバムにおいて、その兆候が
見られるのである。
 また人気ロック・ギタリストのリック・デリンジャ
ーも「ショウ・ビズ・キッズ」でスライドギターを披
露している。
 なお、これらの外部から起用したサポートミュー
ジシャンに対するギャラはアルバム制作経費とし
ては扱われなかった。
 それらはベッカー&フェイゲンが受け取る印税か
ら自動的に差し引かれるという契約になっていた
そうだ。
 もう無茶苦茶である。
 デビュー前のベッカー&フェイゲンは、そんな屈辱
的な契約でも呑まざるを得ないような評価しかされ
ていなかったのだ。
 まさに拾われた状態である。
イメージ 1
  
 え?どこに載っているのか?
 左から二人目にいるウォルター・ベッカー
手前に手が見える。
 これでは、少々判りにくいので拡大してみる。
イメージ 2
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 何とロジャー・ニコルスは左手だけ、ジャケット
写真に写っていたのだった。
 これはスティーリー・ダンのジョークではあろう
が、それでもこれは珍しいことだ。
 手だけではあるが、ミュージシャン以外がアル
バム・ジャケットに載ることは極めて異例である。
の絆はより一層深まり、バンドの解散後のソロア
ルバムでもエンジニアリングを担当することになっ
た。
 
 ~続く~