一昨日の夕暮れ、聞き慣れない選挙カーが我
が家の方へ走ってきた。
私は外を眺めていたわけではない。
選挙カーはスピーカーからのお馴染みの大音
量により、その走行位置がわかるのだ。
何だか、モゴモゴした声だな。
何て言っているのか、よく聞こえないな。
まず、候補者名からしてよくわからないぞ。
耳を澄ましてみる。
「どぼこん ○男、どぼこん ○男でございます」
どぼこん?
何だ?その名前は。
個性的過ぎる。
いくらなんでも、そんなはずはないだろう。
もっと聞き耳を立てる。
おぉ、今度は、ロボコンか!
これは笑える。
どうやら、ウグイスおばさんがマイクの取り扱い
に慣れておらず、声が籠もってしまっているようだ。
だが、選挙カーの中では、外にうまく聞こえてい
るかはわからないらしい。
どぼこんやロボコンと大音量で訴えていても当
人たちは気がついていない。
それにしても、どぼこん、もしくはロボコンとは本
当はどんな名前なのか?
調べてみると、「Nもと」という苗字の候補者がい
る。
どうも、この人らしい。
よかった。人間か。
ロボットまで市会議員に立候補されては堪らない
な、と思ったが、少しホッとした。
~続く~