不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

夜の侵入者。

 夜、布団に入ってしばらくした頃、部屋の
何処かでカサカサと音がする。
 真っ暗な中で音がする。
 ネズミか?
 舞い戻ってきやがったのか。
 懲りない奴め。
 だが、ネズミかどうかは音だけではわから
ない。
 と言って探して見つかるものではない。
 どうしようか?
 もう少し待ってみるか。
 そのまま布団の中で耳を澄ましてみる。
 するとカサカサという音がこちらに迫って
くるのがわかった。
 これは、何だ?
 ネズミにしては足音が小さい。
 ゴキブリか、それとも?
 その謎の物体の足音は一層大きくなってい
る。
 私は蛍光灯をつけて、部屋を見渡した。
 見渡すと言っても狭い部屋である。
 しかし、ごちゃごちゃと物が置いてあるの
でそれなりに複雑な空間なのだ。
 音のする方を見た。
 ムカデだ!
 長さが10センチほどある。
 出たな化け物。
 成敗してくれる。
 私は紙でムカデを掴もうとした。
 さすがにムカデを素手で掴むだけの逞しさ
は私には無いのだ。
 しかし、ムカデはするりと私の手から逃れ
た。
 さすがに足が沢山あるだけあって逃げ足が
速い。
 ムカデは部屋の紙の山に逃げ込んでしまっ
た。
 仕方ない今日はあきらめるとするか。
 私は電気を消して寝ることにした。
 だが、それから5分後、再びカサカサと音
がする。
 私は飛び起き音がする方を見た。
 ムカデは壁を上り始めているではないか。
 壁をこれだけ器用に登るとはスパイダーマ
ンも脱帽である。
 私は再度ムカデを掴もうとした。
 ムカデはまたしても逃げた。
 壁のポスターの額の下に入り込んだのだ。
 額が大きすぎて簡単には動かせない。
 そこに逃げられては私としては打つ手が無
い。
 残念だな、と思っていると、ムカデは額の
下から出てきた。
 チャンス!
 私は普段見せたことが無いほどの敏捷さで
ムカデを掴んだ。
 今度は成功だ。
 私はムカデを掴んだ紙を丸め、その上から
何重も紙を丸めた。
 これで逃げ出せないだろう。

 私はムカデが大嫌いなので、この小さな騒
ぎで完全に目が覚めてしまった。
 しかし私はその後簡単に眠ってしまったよ
うだ。