不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

またムカデ。

 食事を終えて洗い物に取りかかる。
 洗い物がほぼ終わりかけた頃、洗い桶の横に目が
行った。
 黒い筋が蛇行しながら動いている。
 ムカデだ。
 「また、お前か」
 前回のムカデとはまず同じではなく違う固体である
ことは間違いないだろうが、顔かたちが同じなので見
分けが付かない。
 同じムカデがまた入ってきた様な気分になる。
 ムカデは壁などでは、90度の垂直面でもスルスル
登っていくのに、ステンレスだとツルツルと滑ってしま
うらしい。
 流し台に落ちてしまうと、ムカデは自力では脱出不
可能のようだ。
 さすが、ステンレスである。
 私は食器洗い用スポンジを掴んだ。
 これで、ムカデに立ち向かうのだ。
 前回までは、要らない紙で掴んでいたのだが、今
回はやり方を変えてみる。
 私はスポンジでムカデを覆う。
 そして一気に掴む。
 おぉ、意外に簡単に掴めるではないか。
 私はそのまま庭沿いの窓まで、大急ぎで移動する。
 窓を開け、投げ捨てた。
 屋外強制退去である。
 命を奪わなかっただけでもありがたく思いたまえ。
 それにしても、またムカデである。
 梅雨時には出現比率が多いと言われている。
 それでも多い様な気がする。
 わが家はムカデの棲家か?
 ムカデ屋?
 ムカデ・ハウス?
 ムカデ・ハウスか。
 自分で記しておきながら、ちょっと酷いな。
 まぁ、それでも就寝中に襲われなかっただけでも
良かった。
 刺されたら、いろいろと面倒である。
 ムカデを追い出し、私は洗い物を続けた。