隣の部屋から音が聞こえる。
「ゴソッ、ゴソッ、ゴソッ」
何だこの音は?
ネズミか?
ネズミがこんなまっ昼間に動くとは思えない。
しかも近くに間抜けとは言え一応人間がいるのだ。
ネズミもそこまで向こう見ずではなかろう。
ではゴキブリか?
ゴキブリならあり得るかもしれないな。
私は音のする方に近寄った。
すると音は止んだ。
何かがいるのは間違いない。
それから5分後、また音がした。
私はすぐに行った。
そこには体長15㎝ほどのムカデがいた。
ムカデ!
褐色の悪魔である。
私は熟睡中にムカデに刺されたことがある。
刺された瞬間は、チクッとする。
一発で目が覚めはするが、それほど痛くはない。
だが、困るのはその後である。
大きく腫れる。
それに猛烈に痒い。
私は、これを2度も経験している。
2度も寝ているところを襲われたら、敵と認識せざる
をえない。
おのれムカデめ。
昼間に見つかったのが運の尽きと思え!
私はムカデをレジ袋で掴んだ。
すぐに庭に出て放り投げた。
殺しはしなかった。
屋外追放に留めた。
殺すのも面倒だからである。
もう2度と入ってくるな!
次は命をいただくぞ!