友人がディーラーとして勤めている自動車販売会社
へ行った。
前日の夜、電話があり、来店を促されたのだ。
私にわざわざそんな電話をかけてくるということは、
余程、お客さんの動員に困っているのだろうか。
私は、ペーパードライバーである。
それでも、車を買え、と言ってはくるのだが、これ
も挨拶代わりとして聞き流している。言っている方は
こちらが思っているよりも、本気かもしれないが、
とりあえず、必要ない、としているのだから仕方が無
い。
以前は、もっと真剣に薦めてきたのだが、今ではさ
すがにあきらめたのか、熱心さが大分薄れてきている。
さて、自動車販売店へ出発。
といっても、そこへは自転車で行くのだから、我な
がらちょっと笑える。
自動車屋さんに自転車で行くとは、やはり滑稽であ
る。
小雨の中、１５分ほどで到着。
自転車を目立たないところにとめておく。これでも、
少しは気を使っているのだ。
名前を名乗って、待っていると友人登場。
この販売店では、お客に飲みもののサービスがある。
コーヒー、レモンティー、ミルクティーの各ホットと
アイス、オレンジジュースとアップルジュースである。
何も買わないのに、飲み物は出してくれる。悪いなぁ
と恐縮しつつも、出してくれる食べ物飲み物には来るもの
を拒まず、が基本姿勢なのでコーヒーのホットをお願い
した。
呼び出しておいて、特に用事があるのではないのだが、
こうして会わないと、会う暇というのはなかなか作れな
いものである。会おうと思えば、いつでも会える距離に
住んでいると、いつでも会える、という理由でかえって
会わなかったりするものだ。
話の内容といっても、お互いの近況を話したりするの
が中心である。大した内容ではない。
景気の良い話で大いに盛り上がる、ということもない。
かつては、そういう時代もあったが、今は本当に景気
っていいの？というような感覚しかない。
実感の湧かない好景気って何なのだろう？
これはバーチャルの世界だけの話なのだろうか？
確かに会社の数字はいいけれど、という話ばかりであ
る。
とんでもないハードワークに追い立てられてばかりい
て、取り残されたくないから、もっと頑張る、みたいな
生活になってきている。
この友人も組織社会にいると、いろいろあるそうであ
る。
私は、自分の失敗を題材にアドバイスをした。
何しろ現実の失敗談であるから、説得力がある。理論
や空想の世界とはわけが違う。
世の中で、それなりにやっていくのは、骨が折れる。
愚痴も言ってみたくなる。
そんな愚痴を言い合えるのが、友人だと思う。
私は、一応カタログをもらって、自転車で家に向かっ
た。
いつもは通らない道を走ってみる。
どこの家も、庭の花が丁寧に手入れされている。
梅雨時は草花の香りも、少し湿った感じがした。
