私にはヒーリング能力があるのだが、殆ど誰も頼みに来ない。
何故か?
誰にも言っていない、公表していないからである。
誰も知らないのである。
「私にはヒーリング能力があります」などとは、言うつもりはない。
厳密には私自身にその能力があるわけではない。
私は、ただの道具である。
水における水道管、電気における電線のようなものである。
水や電力が通ってこその水道管、電線である。
それが無ければ、ただの邪魔な管でしか無い。
私自身は無能なアホである。
だが、「こいつを使ってやろう」という力の主の意向が働けば治癒の道具となる。
その私が「私が癒やしている」などと思い始めたら、すぐに転落するであろう。
転落している最中は、空に浮かんでいるので体感は無いが、地面に打ち付けられば、バラバラになってしまう。
常にそれを意識していく所存である。