タイムマシンの使用許可がおりた。
私は、後に原爆ドームになる広島県産業奨励館の前で通行人に声をかける。
「今から約半月後に広島の街は、新型爆弾を落とされて壊滅状態になります、
人も大勢亡くなります」
「広島市から、できるだ離れたけ場所に避難して下さい」
皆が私を狂人を見るような目で見ている。
否、はっきりと狂人だと思っているだろう。
東京の時と同じだ。
地方だから、素朴に受け止めて理解してくれる人がいるかと少しは期待していたのだが、反応は同じだった。
まぁ、無理もない。
言っている内容が荒唐無稽に聞こえるのだろう。
従ってくれる人など、いないだろう。
残念だが、仕方ない。
「狂人だと思われてもメゲずに、真実を伝えるべきだ」という声もあるかもしれない。
狂人と思われることは何とか耐えられる。
だが、「狂人の話」を理解し、その指示に従おうという気になる人は見つからなかった。
まぁ、普通の人の感覚ではそうだろうなぁ。
未来がわかる、見えるなんてSFじゃあるまいし、と一蹴されて終わりである。
私が彼らの立場だったら、同じ反応になるかもしれない。
私はタイムマシンに乗り、現代に戻った。
広島でも駄目だったか。
後に大惨事が起こるその前に、いくら示唆を与えても無駄なのか?
新型コロナワクチンによる悲劇を前にした私の気持ちは、そんな戸惑いがある。