散髪に行くことにした。
いつも利用しているお手軽安価散髪店では「入店時にはマスク着用」が義務付けられている。
この掲示を見た時には、もやもやした気分となったが時節柄仕方ない。
自転車で家を出る。
この時、私はマスクはしていない。
散髪店に到着した。
自動ドアの前でマスクを着用する。
そのマスクは普通のマスクではない。
市販マスクではなく、自分で作ったマスクである。
作ったと言えば聞こえは良いかもしれないが、紙を折りたたんで両端に
輪ゴムを連結したものを取り付けただけである。
簡易マスクである。
その紙は読み終わった市の広報誌である。
そのマスクをして店に入る。
二人が施術中で、一人の男性が待っている。
あれ?
意外と少ないな。
この店はいつもはお客で一杯だった。
たまたま今日だけ、あるいはこの時間帯だけなのだろうか?
私は椅子に座って待つ。
紙のマスクをしているので「変なマスク!」という視線を浴びるか?と
思っていたが、皆さん無反応だ。
私の番になった。
髪型とその長さの希望を告げる。
担当の理容師さんは、いつも通りに髪を切り始めた。
えぇ~、ここでもノーリアクション?
なにか言われるかと思っていたが、何もない。
笑われるかと思っていた。
それを期待してもいた。
しかし、何の反応もない。
あぁ、自意識過剰だったのか。
そして散髪は終わった。
店を出ると、マスクを外した。
ゴムを外して紙をポケットに入れた。
使い捨てマスクの使命完了である。
私は自転車に乗って走り出した。