私は、もう何年も激安理髪店を利用している。
今回もいつもの理髪店に行った。
この店を利用する理由は、主に二つある。
一つは、この店は我が家から、一番近く、他の用事
を済ませるのにも便利な場所にあるからだ。
散髪だけのために足を延ばしたくない。
二つ目は、ポイントカード制度を導入しているから
である。
スタンプがたまると、一回分の散髪が無料になる。
一回の料金が激安な上に、さらに一回無料である。
これは魅力である。
店に入ると、3人が散髪中だった。
そのうち2人は女性客だった。
この店は、いつ行ってもお客の男女比がほぼ半分で
ある。
これらの女性客は、こまめなおしゃれの一環として、
こうした店を利用しているのだろう。
髪の長さの微調整だけに来店する。
私にとっては考えられないことだ。
私はもちろん、単純な散髪でバッサリ切ってもらうだ
けである。
私は呼ばれて椅子に座る。
切り方を聞かれる。
私はごく簡単に伝える。
それを聞くと、理容師は少しホッとしたかのような返
事をした。
お客の中には、細かい注文を言う人もいる。
これには店側もかなりの神経を使うだろう。
だが、考えてみれば、オーダーを受け付ける業種は、
そのほとんどが高額な別料金制である。
オーダーメイドは高い、というのが世間の常識である。
しかし、理容・美容の世界ではオーダ-をすることは
当たり前、受け付けてもらって当たり前である。
オーダーを受け付ける分も、料金に含まれているとい
うことなのだろうか。
いずれにせよ、大変なことである。
私は理容店において髪型に関して、細かい注文を付
けたことは今まで一度もない。
ただ、短くなれば良いのだ。
散髪は順調に進み、そして終了した。
店を出ると、青空で空気もさわやかだった。