お祭りの行列が移動を始めた。
その先頭は鳥居の前あたりまで進んだ。
行列が始まるのか。
笛と篳篥の音が聞こえ始めた。
行列の中の楽隊から神妙な音色が流れてくる。
ほぉ、上手だな。
相当練習したのだろうな。
行列が雅に見えてくる。
伴われる音で、人の印象が変わってくる。
行列の人たちは、この町内のおじさん、おにいさんなの
だが、急に垢抜けたように感じる。
雅楽の魔術であろう。
ゆっくりと行列が動き出した。
神社から行列が出ていく。
しずしずと歩んでいく。
飾り付けられた台車に載ったお神輿が、ゴロゴロと音を
立てて前進している。
このお祭りの主要行事の始まりである。
私は二杯目のお酒を飲みながら、それを眺める。
この緩さは嬉しい。
～続く～
