観客の中に知人を見つけると、話しかけ談笑している。
砕けた雰囲気である。
ここのお祭りは神社が主宰する行事ではあるが、厳か
な神妙さはない。
全体に緩い空気に包まれている。
何しろ観客の中に飲酒しながら眺めている者もいる。
行列の人たちも少しはアルコールが入っているようだ。
強い主張もなく、押し付けられた義務感もない。
楽しいからやっている、という感じである。
和やかさに満ちている。
また青年が来て、お酒を注いでくれた。
これで二杯目である。
「ズドォ~ン」
号砲が揚がった。
神社から少し離れた場所で揚げている。
この音を聞いた時、目頭が熱くなった。
う~ん、私としては、珍しい。
これはアルコールによる作用なのか。
あるいは、ここのお祭りの暖かさによるものなのか。
酔った脳みそでは、よくわからなかった。
~続く~