神社の森だな。
このお祭りの中心地であろう。
正面はやはり南向きか?
となると、こちらの道だな。
私は自転車を走らせる。
お祭りの幟が見えてきた。
「ここがお祭りの中心だ」と宣言しているようだ。
半透明の雲が広がる空を背景に白地に墨書が生える。
鳥居の前に着いた。
S神社か。
そうか、ここはS町か。
地元ではよく知られた大手の食品会社の工場がある町
である。
そのためか、当地の住民の間でも、日頃から会話に登
場してくる地名である。
私はS町のことはその食品会社関連の事柄で知ること
が多い。
だが、町の文化的なムードと言ったことは何一つ知らな
い。
歴史があるのか、そうでもないのか、それすらも知らない。
いつもは、他の街に行く途中に通り過ぎる町だったのだ。
~続く~