拝礼し祈念をする。
「どうか、当地のお祭りに雨を降らさないように、お願
いできませんでしょうか?」
どこに頼ったらわからなくて、やどり着いたのが龍神へ
の祈祷である。
寄る辺なき者からの訴えに応えてくれるのか?
私はもう一つ付け加えた。
「せめて、お祭り明けの月曜日の朝に私の班が幟倒し
の当番なので、その時間帯は雨無しということでお願い
いたします」
結局、自分のことを優先して願っているのだ。
愚かではある。
それはわかってはいるが、そうなってしまう。
まぁ、肉体を持つ人間の考えはそんなものである。
あぁ、これをやって駄目なら仕方ないな。
この神社は主祭神であっても、拝殿はなく少し大きめ
の祠である。
ここにもお参りし、私は神社を後にした。
さて、ここまでが今から1年前の昨年の4月の出来事
である。
龍神への祈りが届いたのか、今年のお祭りには雨は
降らなかった。
厳密には数滴降ったが、それだけだった。
だが、明らかな不気味な異変もあった。
当町内連合会の上空にだけ真っ黒い雲が浮かんで
いたのだ。
なお、月曜日の幟倒しの時間帯も晴れた。
いずれにせよ、今年は雨に困らされることは無かった。
龍神への祈りが叶えられたということなのか?
とりあえずめでたしめでたしである。