不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

龍神様へお願い。その⑧

 私は龍神の祠の前に進む。
 拝礼し祈念をする。
 「どうか、当地のお祭りに雨を降らさないように、お願
いできませんでしょうか?」
 どこに頼ったらわからなくて、やどり着いたのが龍神
の祈祷である。
 寄る辺なき者からの訴えに応えてくれるのか?
 私はもう一つ付け加えた。
 「せめて、お祭り明けの月曜日の朝に私の班が幟倒し
の当番なので、その時間帯は雨無しということでお願い
いたします」
 結局、自分のことを優先して願っているのだ。
 愚かではある。
  それはわかってはいるが、そうなってしまう。
 まぁ、肉体を持つ人間の考えはそんなものである。
 あぁ、これをやって駄目なら仕方ないな。
 龍神への祈りが終わると、主祭神の祠に行く。
 この神社は主祭神であっても、拝殿はなく少し大きめ
の祠である。
 ここにもお参りし、私は神社を後にした。

 さて、ここまでが今から1年前の昨年の4月の出来事
である。
 龍神への祈りが届いたのか、今年のお祭りには雨は
降らなかった。
 厳密には数滴降ったが、それだけだった。
 だが、明らかな不気味な異変もあった。
 当町内連合会の上空にだけ真っ黒い雲が浮かんで
いたのだ。
 なお、月曜日の幟倒しの時間帯も晴れた。
 いずれにせよ、今年は雨に困らされることは無かった。
 龍神への祈りが叶えられたということなのか?
 とりあえずめでたしめでたしである。