不倫やその後の結婚は、不要の憶測を呼ぶだけで
ある。
Aさんだけでなく、看護師から医者の奥様になったC
子さんに対しても、様々見方がされたことであろう。
一方C子さんもそう単純な人ではないようだった。
結婚当初は「若いはつらつとした奥さん」と言った感
じの人だった。
それが、日が経つにつれ「医者の奥様」然としたキャ
ラクターに変貌していった。
医者の奥様もいろいろおられる。
C子さんの場合は、「お高く留まった嫌みな奥様」風に
なってしまった。
「C子ちゃん」と呼んでいた近隣に住む患者たちも、接
し方を変えていった。
班内の女性陣も複雑な気持ちを隠し切れなかった。
以前は「C子さん」と呼んでいたのが「あの人」に変わ
った。
態度もよそよそしくなった。
Aさん夫妻にはほどなく、子供も生まれた。
子供は地元の保育園には通わせず、スクールバスが
迎えに来た。
小学校も地元ではなく、隣の市に越境入学した。
これは当地では、とても珍しいケースである。
当市には、東証一部上場企業のオーナーとその一族
も住んでいるが、彼らも最寄りの小中高校に通っている。
一部上場までではなくとも、有名企業の関係者一族も
そうしている。
そうした地域なのである。
Aさん一家には「この辺りの人とうちとは違うのだ」とい
った意識があるようだった。
~続く~