朝8時、私は何かを忘れているような気がしていた。
何かを忘れている。
忘れていることは気が付いているのだが、いったい何を
忘れているのだろう。
考えてみる。
わからない。
おそらく、それほど大きなことではないだろう。
大きな事柄なら昨日昨夜から気になっていたであろう。
その続きで朝になっても覚えているだろう。
だが、覚えていない。
まぁ、仕方ない。
一旦、この件は横に置いておこう。
午後1時半、ふと思い出した。
食品トレーの資源ごみを搬出するのだった。
今日は週一回の回収日である。
えぇ~、今頃思い出しても、もう1時半である。
資源ごみはとっくに回収搬送されたのではなかろうか。
資源ごみは、何時に集めに来るのだろう?
燃えるごみは、朝10時半までには回収に来る。
早い時には9時15分くらいの時もある。
どうしようかな。
一応、持って行ってみるか。
私はトレー1枚を持って家を出た。
この1枚くらい来週に持ち越しても、特に困るわけではない。
だが、気が付いていたのに、そのままにしいておくという
のもよろしくない。
少し歩いて搬出所に着いた。
おぉ、まだある。
トレーやペットボトルが、それぞれ大きな網の袋に入れら
れている。
袋の口元は締められて、搬出直前のようだ。
へぇ~、こうしているのか。
いつも早朝に持ってくると、袋はべたっと地面に置かれて
いて袋の口は開けっ放しである。
時間が来るとどなたかが口を締めるようになっているのだ
ろうか。
私は締まった袋を少し開けて、持ってきたトレーをねじ込
んだ。
あぁ~、間に合った。
持ってきてよかった。
なんだか少し得をしたような気分だ。
帰り道の足取りは軽くなっていた。