私は廊下の長椅子で待つ。
看護士が寄ってきて私に声をかけた。
「フジヤさん、診察室へお入りください。長いことお
待たせしましたね」
普通だったらそろそろイライラし始めるほど待たさ
れたのだが、何故か今回はそうならなかった。
私は診察室に入る。
ここは明るいなぁ。
照明が行き届いている。
私は患者用の椅子に座る。
医師はモニターを見ている。
今は、どこの病院でもこういう感じなのか。
ここでもう一度血圧を計ることに告げられた。
え?
どうして?
さっき計ったではないか?
私は状況がわからない。
さっきの数値が悪かったので、もう一度計るのか?
気になるなぁ。
私は尋ねようとしたが、言葉を飲み込んだ。
私はおとなしく腕を出す。
ほぼ無抵抗である。
普段の私では考えられないことである。
一言ふたことは必ず返しそうなものなのだが、そう
しなかった。
私はちょっと別人になっていた。
~続く~