不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

「だぁからぁ、言ってんじゃん」

 私は医院の待合室に座っていた。
 健康診断の結果を聞きに来たのだ。
 待合室の隅に子供用のスペースが設置されている。
 三畳程の小さな部屋である。
 靴を脱いで上がる小部屋で、中には絵本や簡単なおもち
ゃが置いてある。
 私は、そのスペースの入口付近の椅子に座ってた。
 二人の幼児を連れた母親が、子供をスペースに上がらせ
た。
 患者は子供なのか、それとも母親なのか?
 子供は元気があり、いろいろと喋ったりしている。
 子供は熱があっても大騒ぎしたりするので、ちょっと見ただ
けではわからない。
 子供もここが医院だと理解しているようで、特に大声を出し
たりはしない。
 だが、子供は子供である。
 何かやったらしい。
 母親が叱り始めた。
 「だぁからぁ、言ってんじゃん。わかんないの?ねぇ?」
 うわぁ、ヤンキー口調だ。
 母親の今の見た目は普通の若い母親風である。
 昔はヤンキーだったのだろうか
 でもなぁ、子供を叱る時にヤンキー口調は良くないなぁ。
 子供は、そういう口調で言葉を覚えてしまう。
 こういう場合、どうすれば良いのだろう?
 口出しをすれば「余計なお世話!」と拒絶されるかもしれない。
 いろいろ考えた末、私は何もしなかった。
 そのうち私の名前が呼ばれ私は診察室に向かった。