次は血圧測定と採血だった。
血圧測定は特に何もなく終わった。
さて採血である。
私は採血は苦手である。
注射針を刺しているところや吸引中の注射器を見
ていられない。
採血中は顔を違う方向に向けている。
ほんの少しではあるが、チクリと痛いのも嫌なのだ。
私は微妙に顔をゆがめて耐える。
看護士さんは注射器から目を離さないので、私が
そんな顔をしていることには気がついていない。
採血は進む。
(そんなに抜かれて大丈夫か?)
どれだけ取られるのか見てはいないが、そんなこ
とを思ってしまう。
採血も終わった。
あとは医師による問診である。
だが、私は廊下の長椅子に座らされたまま、しば
らく待たされることになった。
急な患者が来たら、そちらを優先し検査の人は後
回しにする、ということは予約の際に言われていた。
それは仕方ない。
不調箇所が無い人間の検査など、後回しになって
当然であろう。
私は前を取り過ぎる人たちを眺める。
いずれの方も、具合が悪そうだ。
「ただの風邪」という感じの人は一人もいない。
足取りは重く表情も冴えない。
車椅子を押されて来た人もいる。
何人もの看護士が行ったり来たりしている。
看護士=早足というイメージは、正しいようだ。
~続く~