用事が済んで自転車で家に帰る。
氏神様に寄っていく。
路地をジグザグに曲がって氏神様横の道に出る。
境内を取り囲む石垣に沿って、その上部にしめ縄が
渡されている。
しめ縄に付けられている紙垂が新調されているよう
だ。
ひょっとすると、しめ縄そのものも新しくなっているの
かもしれない。
脇道を右に曲がって境内正面に回る。
クルマが境内前に沢山止まっている。
私は鳥居横前方に自転車を停める。
いつもと雰囲気が違うな。
境内に目を向ける。
参道の中程の両脇に幟旗が掲げられているではない
か。
へぇ~、お正月にも幟旗を立てているのか。
知らなかった。
私は、幟旗を立てるのはお祭りの時だけだと思って
いた。
何十年住んでいても知らないことだらけである。
境内には10人ほどの男性が、忙しそうに動いている。
町内連合会の係の方々であろうか。
社務所の入り口や窓上部に白幕が張られている。
お正月用の装いである。
色の少ない境内に、真っ白の幕は少しまぶしい。
氏神様では少しでも多くの初詣客を招こうと、何年も
前から力を入れている。
境内が綺麗に整えられていく。
賽銭箱も白布が張られている。
お色直しの他にも、参拝客を招く仕掛けが用意される。
がり火が焚かれるのだ。
これはなかなか手のかかる仕掛けである。
初詣客はかがり火に迎えられる。
深夜の闇に燃えるかがり火は、なかなかムードがある
そうだ。
参拝客には、甘酒も振る舞われる。
私は一度お参りしてみたいと思っている。
だが、これまで一回も実現していない。
わりと温暖な当地でも、深夜零時は、それなりに冷える。
寒さに弱い私には、おそらく無理だろう。
その時刻には布団の中にいるだろう。
私は、忙しい準備風景の中から抜け出し、家路を急いだ。