私の怒りは、過去数十年でも最大規模のものだった。
怒りがそこまで巨大になったのは、×さんの素性に
も要因がある。
×さんは、いわゆる「お堅い職業」の人だった。
「そんな立場の人がそんなことやるか？！」というよう
な人である。
これがチンピラすれすれのような人だったら、怒りも
そこまで燃え上がらなかっただろう。
怒りはするが、普通程度の怒りで治まるだろう。
だが、お堅いはずの人が同じことをすると、その立場
が世間で承認を得ているものであるだけ余計怒りは増
幅する。
許せないな、という気になってくる。
だが、これはこちらにとっては有利な条件でもある。
相手は立場上、どこへも逃げられないからである。
逃げ隠れができないのだ。
これはこちら側としては好都合である。
追い込むことが容易となる。
「怒った上に追い込むとはやり過ぎでは？」と思われる
かもしれない。
しかし、それほど私は怒っていたのだ。
普段、まるで怒らない人間が怒ると限度というものが
無くなる。
どこまでも怒っていくのか自分でもわからなくなってし
まうのだ。
～続く～
